◆「尊厳死」という言い方は、"Death with Dignity"や"Dying with Dignity"から来ているが、この語はむかしは、"Euthanasie"と言っていた。"eu-"は、「容易に」、"thnasie"は、タナトスと同系で、「安楽死」という訳語があった。しかし、いつのまには、この語の代わりに"Dying with Dignity"が使われるようになった。ちなにみ、1935年以来の歴史を持つUKの"Dignity in Dying"は、2005年まで"The Voluntary Euthanasia Legalisation Society" (VELS)と名乗っていた。どこかで、"diginity"(尊厳)というが入ってくるのである。しかし、英語の"digunity"には、尊敬するの〝尊〟の意味はあるが、必ずしも〝厳〟の意味はない。日本語の〝尊厳〟には、武士の切腹のようなおごそかなイメージがつきまとう。"Death with Dignity"や"Dying with Dignity"の意味は、個々人が、物を使い捨てするような仕方で死なされるのではなく、人間らしく死ねることにつきる。
◆ところで、ただの"dying with dignity"ではなく、「尊厳死」などというおごそかな表現そしているにもかかわらず、日本では「尊厳死」は不可能である。なぜなら、日本には死刑制度があり、人間の一部は決して「尊厳死」できない現実があるからだ。尊厳死を合法化するには、死刑制度をやめなければならない。